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とが多い。これは、専門家としてのノウハウを持っているからであり、このようなノウハウを制御に取り入れるのがファジィ制御である
(1)システム構成
ファジィ浚渫自動化システムの概念図をFig.一1に示す。制御系は、工業用コンピュータ6台で構成され、シーケンサとのLANによって、データ通信できるようになっている。ファジィ浚渫制御プログラムはC言語を用いて開発した。
(2)ファジイ浚渫制御機能
今回の実船実験では、ファジィ浚渫制御システムとして以下の4要素について制御を行っている。
?推進翼角制御(船速制御)
?浚渫ポンプ回転数制御
?ジェットポンプ発停制御
?スエルコン圧力制御
2−4.ファジィ浚渫制御システムの制御アルゴリズム
Fig.-2にファジィ浚渫制御の浚渫特性モデルを示す。このモデルは、プログラム作成前に行われた実船データ収録・解析および、船長アンケートで得られた知見をもとにして作成した。
(1)推進翼角制御
?実船データ解析および船長アンケートによって、船速3kt付近が最も浚渫効率が良いことがわかった。このため、基本的に船速は3kt付近を目標とした船速、船速変化率に対するフィードバック制御による船速一定制御とした。
?またドラグヘッドの接地圧を表すスエルコン接地荷重によってドラグヘッドの曳引抵抗が推定可能であるので、スエルコン接地荷重入力により、推進翼角を制御するように、フィードフォワード制御ルールを付加した。
(2)浚渫ポンプ回転数制御
?実験データ解析により、浚渫ポンプ回転数一定で浚渫した場合、193rpm付近が最も効率の良い浚渫であることがわかった(通常のシルト質の軟泥浚渫の場合)。
?含泥率と浚渫ポンプ流量との関係は、ほぼ次式が成立することがわかった。
Qm/Qo=1-4.59Cv1・3(1)
Qm:浚渫時の浚渫ポンプ流量(m3/h)
Qo:清水時の浚渫ポンプ流量(m3/h)
Cv:真容積含泥率
?浚渫ポンプ流量目標値を3750m3/hとし、流量、流量変化率に対するフィードバック制御による浚渫ポンプ回転数制御を基本とした。
?また浚渫ポンプ流量計は、ドラグヘッド吸入口での流量変化に対し遅れて降出されるため、スエルコン接地荷重を入力としてポンプ回転数をフィードフォワード制御するルールを付加した。
(3)ジェットポンプ発停制御
ジェットポンプは通常泥を薄める効果があるとされるので、浚渫中は基本的に停とした。浚渫中に浚渫ポンプ流量が小さく、吸入負圧が高い時は浚渫ポンプが閉塞する危険が生じるため、ジェットポンプを発することとした。
(4)スエルコン圧力制観
スエルコン圧力目標自動設定を行うには海底の土質等との関係を解析する必要があるので、自動目標設定は開発第2期の課題とし、今回は手入力による設定とした。

209-1.gif

Fig.-2 Characteristic of fuzzy control

2−5.ファジィ推論の概要
今回開発した、ファジィ浚渫制御の推論機能の概要を以下に示す。
(推論機構)ファジィプロダクションルールによる前向き推論
(推論方式)MIN−MAX論理積出力部のメンバシップ関数(MF)は、シングルトンを用いた簡略型推論
(確定方式)重心法
このファジィ推論の処理手順説明図をFig.-3に示す。
?各種の条件、および動作をあらわす制御規則と、各入出力データをいくつかのグループに分けるメンバシップ関数を設定する。
?入力データから制御規則、メンバシップ関数を用いて、ミニマム演算によりそれぞれの制御規則の適合度

 

 

 

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